サンゴの産卵時期に雨や日射の影響、東京大学が15年分のデータから解明

早く知りたい方へ:

初夏の夜に見られるサンゴの産卵が、直前の雨や日射の量によって早まることが、東京大学などの研究チームにより明らかになりました。これは、沖縄美ら海水族館での15年にわたるサンゴの飼育データを基にした成果です。

温暖な浅い海に生息しサンゴ礁を形成するサンゴは、初夏の満月に近い夜に一斉に産卵します。日本国内では5月から6月に沖縄近海で見られますが、その時期は年ごとにばらつきがあり、詳しい原因は不明でした。

沖縄美ら海水族館では、海水を引き込んだ屋外水槽でミドリイシ属のサンゴを飼育し、産卵データを詳細に記録しています。東京大学の丸山真一朗准教授らの研究チームは、2017年までの15年間の産卵データを分析し、環境要因との関係を調べました。

海水温: サンゴの産卵開始時期は、直近1か月の海水温が高いほど早まる傾向が確認されました。
雨と日射: 産卵開始からピークまでの日数は、短い年は数日、長い年は20日ほどかかりました。これについて、海水温に加えて雨や日射の量が多いほど期間が短くなる傾向があることが判明しました。

丸山准教授は、「サンゴの産卵の様子を毎晩記録し続けるのは野外ではほぼ不可能で、水族館だからこそできた研究です。サンゴがどのように複雑な自然環境を読み解き、仲間と同調しているのか、その仕組みを解明したい」と述べています。

この研究は、サンゴの保護やサンゴ礁の生態系理解に重要な貢献をするものと期待されます。